バンド練習するとき、個々の音量が十分に出てても、バンドサウンドになると音が聞こえなくなる、ということがよく起きる。
これは主にベース・ギター・ドラムあたりの楽器で起きやすい。
原因はいろいろあるけど、その中でもあまり重要視されないのが、「音の位相」
今回は「音の位相」について注意したい点を紹介する。
「音の位相」ってなに?
音は空気中を波のようにして伝わる。
音が波で伝わるとき、プラスの方向と、マイナスの方向で伝わるのである。
これを一般的に位相と言い、プラス方向を「正相」、マイナス方向を「逆相」と呼んだりする。
「音の位相」で音が消える理由
まったく同じ音が2つあったとして、お互いにプラスとマイナスの方向で音をぶつけると、お互い音をかき消してしまい、その結果、音量が下がるのだ。
この現象がバンド内ではよく起きている。
ちなみにこの原理をうまく利用しているのが、ヘッドフォンのノイズキャンセル機能だ。
外部のノイズをマイクが拾い、ノイズの逆相の音を出力して、ノイズキャンセルをしている。
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消えやすい音は主にベース・バスドラムなどの低音
低音は波の1周期が長い。
周期の長い波同士は、同調しやすく、お互い干渉しやすい。
そのため、低音同士はかき消されやすいと言える。
バンドサウンドでいう低音とは、バスドラムとベースだ。
ギターも低音が豊かなサウンドであれば、干渉する要因となる。
マイク~PA卓間で位相が反転することはない
各楽器の音を拾うマイクからPA卓間で、音の位相が反転しまうことはない。
これはシステムを組む上での決まりごとだ。
そのため、正相でアンプから出ている音は、メインスピーカーからも正相で出ているということである。
もしメインスピーカーからの音が逆相になっていたら、音はかき消されるということはわかってもらえたはず。
位相が変わるエフェクターがある
例えば、ベースがオーバードライブをかけた途端、バンドサウンドがしょぼくなってしまった。なんてことはよくある話だ。
これの原因もいろいろあるが、ベースの位相がエフェクターによって反転してしまい、音抜けが悪くなったということも考えられる。
このようなエフェクターがある場合、対策が必要となる。
位相が反転しているか調べる方法
一番確実なのは、マイクで録音して、音の波形を確認することである。
楽器とエフェクターを接続したアウトをオーディオインターフェースに繋げて、DAWで確認するのが一番カンタンかもしれない。
もう一つの方法として、ドライサウンドとエフェクトを通った音を2台のアンプにそれぞれ接続し、アンプ同士を向かいあわせるという方法がある。
エフェクトをオンにしたときとオフにしたときで、音がひっこむような感じがすれば逆相、という判断をする。
位相が反転しやすいエフェクターは「歪み系」
位相が反転しやすいエフェクターは、オーバードライブなどの歪み系である。
クリーンブーストをさせるエフェクターでも反転することはよくある。
XOTICのEPブースターは位相が反転します。
位相が反転するエフェクターの対策
もし使いたいエフェクターが逆相になるものであっても、エフェクトをかけっぱなしにする場合はとくに問題はない。
その状態でバンドサウンドを仕上げれば良いのである。
曲中にエフェクトをオンオフする場合が厄介である。
この場合の対策は、もう一つ、逆相になるエフェクターをかまして、2台同時に操作することだ。
同時に2台エフェクトを操作するのは現実的ではないから、大掛かりにはなるが、スイッチングシステムを導入することをおすすめする。
音の位相だけを反転させるエフェクターも存在する。
EVA電子「Phase Control System」などがそれにあたる。
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さいごに
本来、位相に関しては、演奏者がそこまで考える必要がないことかもしれない。
だが、位相に関する知識があれば、バンドサウンドを整えることができるので、頭の片隅にはあった方が良い知識だと言えるだろう。
しかし、ベーシストにはこの知識は必須だと僕は思う。
ベーシストが使うエフェクター1つによって、バンドサウンド全体が一気に悪くなることがあるからだ。
反面、ギターは反転しようがしまいが、あまり関係ない話なんだけどね。